「医師×不動産投資=節税」の真実

医師の不動産投資
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医師は不動産投資で節税するべき。

本、ホームページ、あらゆるメディアで「医師×不動産投資=節税」の方程式が述べられています。

しかしながら

  • 具体的にどういう方法で
  • 何が本当で
  • 何が嘘で
  • どれくらい節税になるのか

という事について、掘り下げてまとめられているメディアは、あまりありません。

今回は「医師×不動産投資=節税」のウソホント、具体的な数字を明らかにしていきます。

 

医師×不動産投資=節税、真実は2つ

医師×不動産投資=節税、の方程式で明確な真実は

  1. 医師の給料×減価償却×長期譲渡=節税
  2. 医師の給料×経費=節税

の2つです。

 

医師の給料×減価償却×長期譲渡=節税

減価償却とは、建物部分の劣化による損失を1年ごと経費として計上する方法の事です。

不動産は土地と建物によって成り立ちます。

土地とは異なり、建物部分は時間経過と共に劣化し、価値を失います。

例えば木造の場合、22年で価値を失いますから

土地=2600万円
建物=4400万円

という不動産があった場合、建物部分は1年で200万円(4400万÷22=200万)の価値を失う事になります。

この200万円を、事実上の損失として経費に参入する事を減価償却と呼びます

減価償却は、実際にお金が減っているわけではないにも関わらず、経費に算入する事で節税効果があるため、魔法の経費と呼ばれています。

給与所得と減価償却を合算する事で、節税効果があります。

例えば課税年収1000万円の医師が、年間200万円の減価償却を受けた場合

課税年収=1000万円ー200万円=800万円

になるので、仮に税率が30%だとするならば

1000万円×30%=300万円

800万円×30%=240万円

となり、年間60万円の節税に成功します。これが22年間継続すれば

60万円×22=1320万円

の節税に成功します。

これだけ見ると、医師×減価償却の不動産投資節税はズルいレベルなのですが、これで終わりではありません。

減価償却部分は、実は売却時に課税されます。

例えば上記の例の場合、22年後には

土地=2600万(土地の価値が変わらないとする)
建物=0

と、帳簿上はなっているはずです。

仮にこれを、購入金額と同額の7000万円で売却したとします。

7000万円で購入し、7000万円で売却するのですから、売却益が無く課税されないように見えますよね。

しかし実際は、減価償却部分を復活させた価値つまり

土地=2600万
建物=4400万(減価償却部分)

から、帳簿上の2600万円を差し引いて

+4400万円

の売却益が出た事になります。

個人が不動産を所有した場合、5年以上保有すると長期譲渡所得扱いになり20%の課税であるので

4400万×20%=880万

の税金を支払う事になります。

減価償却は、課税の繰り延べ(税金を支払うタイミングを未来にずらしている)に過ぎないのですが、それでも医師の場合は節税効果が出る場合がほとんどです。

なぜか。

医師の給与が高く、税率が高いからです。

医師の給料水準ですと、税率は概ね30〜50%です。

減価償却した部分は、医師の給料の課税対象から外す事ができますから

減価償却費×30〜50%

の節税に成功します。

一方で、個人が所有する不動産の売却益に対する課税は、5年以上保有の長期譲渡所得で20%ですから、売却金額が購入金額と同等の場合は

減価償却費×20%

が、売却時に支払う金額です。

仮により高い値段で不動産を売却できた場合、課税額も増え支払う税金も増えますが、それ以上に利益が出ているため、手元に残るお金は増えるはずですから、問題ありません。

仮により低い値段で不動産を売却する場合、課税額は減り支払う税金は減りますが、利益も減ります。減価償却が終わる22年でローンの支払いが終わっていれば、残債がゼロはなずですから、いくらで売却できたとしてもプラスの手残りがあり、こちらも問題ありません。

医師のような高年収、高税率の人にとって減価償却は、単なる「課税の繰り延べ」だけでなく、課税時の税率差が生まれやすいため、節税効果があります。

 

医師の給料×経費=節税

医師の不動産投資における節税と言えば、減価償却の次は経費です。

経費については医師が不動産投資で経費を使うにはに詳しく記載してありますので、そちらをご覧下さい。

医師が不動産投資で経費を使うには
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医師×不動産投資=節税、のウソ

医師×不動産投資=節税、の方程式にはウソも含まれます。

最も分かりやすいウソは

  • 赤字で節税

です。

上記の例で使った物件で、計算してみましょう。

医師の給料=1000万円だとすると

黒字の場合

土地=2600万円
建物=4400万円
合計=7000万円
家賃=600万円(利回り8.6%)
減価償却=200万円
諸経費=300万円

課税金額は

医師給料+600万ー(200万+300万)
=1000万円+100万円

です。

支払う税金は、税率が30%だとすると

1100万円×30%
=330万円

で、支払う税金が30万円増えてしまいました。

赤字の場合はどうでしょうか?

赤字の場合

土地=2600万円
建物=4400万円
合計=7000万円
家賃=400万円(利回り5.7%)
減価償却=200万円
諸経費=300万円

課税金額は

医師給料+400万ー(200万+300万)
=1000万円ー100万円

です。

支払う税金は、税率が30%だとすると

900万円×30%
=270万円

で、支払う税金が30万円減りました。

黒字のケースと比べて年間で支払う税金が60万円、減っています。

赤字の方が節税効果があって、よく見えますよね。

では、実際に手元に残ったお金を比較してみましょう。

黒字のケースは

医師給料+600万(家賃)ー300万(経費)ー330万円(税金)
=1000万円ー30万円

で、970万円が手元に残ります。

ここでもう1度おさらいです。

減価償却は課税対象から控除できますが、実際にキャッシュが流出するわけではないので、手元のお金としては減りません。

赤字のケースは

医師給料+400万(家賃)ー300万(経費)ー270万円(税金)
=1000万円ー170万円

で、830万円が手元に残ります。

いかがでしょうか?

赤字水準の方が支払う税金は減りますが、手元に残るお金も減っています。

節税効果を狙い過ぎて、トータルで手元に残るお金が減ってしまっては、意味がありませんよね。

 

医師は不動産投資の「節税」に目を奪われるな

医師は高年収で税率が高いため、減価償却による節税効果は確かにあります。

しかし赤字水準の不動産投資を行なって、実際に赤字を垂れ流して手元のお金を減らしてしまっているようでは、もはや何がやりたいのかわかりませんよね。

医師×不動産投資=節税、の方程式に含まれる

  • 赤字で節税

は、文字通り真っ赤なウソです。

節税だけに目を奪われて、本来の目的である「お金を増やす」事をおろそかにしてしまっては、意味がありません。

キチンと黒字を出して、支払う税金は増えるけど、手元に残るお金が増えた方が、絶対に良いです。

仮に黒字が出ても、減価償却による節税の恩恵は受けられます。

減価償却による節税効果を得つつ、キチンと黒字を出して税金を納付する。

これが、高年収高税率な医師の、ベストな不動産投資です。

医師は不動産投資の「節税」だけに目を奪われては、いけません。

医師の不動産投資は、節税以外にも良い点がたくさんあります。

節税はあくまで一部に過ぎません。

もっと広い視野で不動産投資を見て、自分で判断するようにしましょう。

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また、医師が不動産投資で節税するために、法人は避けて通れません。

法人についても、よく勉強しておきましょう。

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